福島会計事務所

特定新規設立法人の納税義務の免除の特例

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特定新規設立法人の納税義務の免除の特例

特定新規設立法人の納税義務の免除の特例

2021/09/18

特定新規設立法人の納税義務の免除の特例

特定新規設立法人の納税義務の免除の特例

 新設法人の場合、1期目、2期目は原則として消費税の免税事業者となります。
 ただし、新設分割等により親会社の事業を引き継いだ場合や設立時から一定の規模を有する法人の場合に
1期目から課税事業者となることがあります。

 今回はそのうち、「特定新規設立法人の納税義務の免除の特例」についてご紹介します。

 まず、特定新規設立法人とは次の要件を満たす法人をいいます。


 1.その事業年度開始の日における資本金が1,000万円未満であること

 2.その事業年度開始の日において ※1 特定要件に該当すること

 3.その※2 基準期間に相当する期間に対応する特定要件の判定対象者の課税売上高が5億円を超えること


  ※1 特定要件とは他の者によってその新設法人の発行済株式の50%超を直接又は間接に保有されている場合などをいいます。
  ※2 基準期間に相当する期間とはその事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日までに終了した期間をいいます。


 この要件の全てに該当した場合にはその新設法人は設立1期目または2期目において消費税の納税義務は免除されない、つまり課税事業者となります。

 

 実は最近新たに弊所の関与先となった法人でこの判定が必要な事例がありました。

 各法人の状況は以下のとおりです。

 ①T社(5月決算法人) ・・・弊所顧問先  :課税売上高 約5,000万円

 ②K社(3月決算法人) ・・・他税理士顧問先:課税売上高  不明

 ③J社(11月決算法人) ・・・今回判定対象先:令和2年12月設立の新設法人 資本金900万円


 J社(新設法人)の株主構成 ・・・K社 70%
                  T社 30%


 ①T社は2年前から弊所で関与させていただいており、今回新たに設立したJ社も当事務所で関与して欲しいと依頼がありました。
 T社と新設法人J社の代表取締役は同じY社長です。
 関与するにあたって履歴事項証明書を拝見すると資本金900万円となっていました。消費税の免税事業者になるように免税点ギリギリの
資本金にしたのだと思いしました。ここまではよくある話です。
 そして、次に定款で株主構成を確認するとK社が70%を保有していると判明。
 この時点で特定新規設立法人に該当するかの判定が必要だと認識しました。
 仮に弊所の関与先T社がJ社株式を50%超保有していた場合にはT社は弊所の関与先ですので基準期間に相当する期間の課税売上高は簡単に
確認ができるのですが、今回はK社の基準期間に相当する期間の課税売上高が5億円を超えるか否かの確認が必要です。
 この話をT社のY社長に説明するとそのような制度があることに驚かれました。
 K社の方とは全く面識がございませんでしたが重要なことなので早速、K社の経理担当者に確認していただきました。結果的には課税売上は5億円以下であったため
 原則どおり設立1期目は免税事業者で問題ありませんでした。
 K社は飲食事業と不動産業等手広く事業を行っていると聞いておりましたのでもしかして5億円を超えるか心配しましたが結果的に事なきを得ました。
 今回のように弊所の顧問先以外の法人が判定対象者となる場合にはしっかりと制度の説明を行い、申告書を閲覧させてもらって確認する必要があります。

 

 この他にも「特定期間の課税売上高による免税事業者の判定」など消費税の免税事業者の判定はどんどん複雑になってきていますので慎重な判断が求められます。

 ただし、消費税について令和5年10月から導入される「適格請求書等保存方式(インボイス方式)」が開始されると設立1期目から適格請求書発行事業者(課税事業者)
を選択するケースも増えてくると思われます
ので、課税事業者・非課税事業者を判定する期間は減少することが予想されます。
 

 「適格請求書等保存方式(インボイス方式)」開始に向けて来月から「適格請求書発行事業者」の登録受付が開始されます。
 スタートは2年後ですが各事業者の事業内容(B to B、B to C)などによって対応が異なる場合が考えられます。
 インボイス方式はほぼ全ての事業者に影響がある事項ですので今後随時解説していきます。

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