役員退職金の計算方法
2022/01/13
役員退職金の計算方法
退職金は支給する会社にとっては原則損金算入でき、かつ、支給を受ける側も勤続年数に応じた退職所得控除額があり税務上優遇されています。
経営者が役員を退任する場合にも役員退職金を支給することがありますが、この役員退職金の支給額は高額になることが多く、税務上「不相当に高額」
として否認されることもしばしばあります。
では、その役員退職金はどのように算定すれば良いでしょうか??
役員退職金の算定には「功績倍率法」と「1年当たりの平均額法」があります。
まず「功績倍率法」ですが、通常はこちらのほうを使用します。
計算式は以下のとおりです。
「役員退任前の」最終報酬月額×勤続年数×功績倍率
例えば創業者の代表取締役社長で、最終報酬月額が100万円、役員在任年数が30年、功績倍率を3.0とすると9,000万円が役員退職金の金額となります。
一方の「1年当たりの平均額法」ですが、会社の業績など何らかの事情によって役員退任直前の役員報酬が大きく減少している場合に使われる計算方法です。
計算式は以下のとおりです。
同種・同規模の法人の1年当たりの退職金額の合計額÷同種・同規模の法人の数×在任年数
なお、「1年当たり平均額法」で算定する場合、「同種・同規模の法人の退職金額」を確認する必要があります。
中小企業の役員報酬・賞与・退職金の支給相場についての書籍などを参考にすれば良いのですが、結構高額な書籍です。
当事務所ではTKCの会員事務所であり、TKCのシステムを使用している全国企業の実際のデータを規模別、業種別にまとめた「BAST」という指標をいつでも
確認できますので役員退職金の適正額のご相談の際には「BAST」を活用してお答えさせていただいております。
高額になりがちな役員退職金が「不相当に高額」と否認されると会社の損金として認められなくなり、税負担に与える影響が大きいです。
また、代表取締役社長から非常勤取締役などに分掌変更したことによって退職金を支給する場合には、税務当局によって社長退任の事実が認められるか、
単に形式的な退任となっていないかを確認されますので注意が必要です。