福島会計事務所

法人契約の生命保険と事業承継対策

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法人契約の生命保険と事業承継対策

法人契約の生命保険と事業承継対策

2021/10/13

生命保険の活用と事業継続

~通達改正後の内容と会社のリスク対策~

これまでは法人契約の生命保険をしばしば節税目的で加入していた法人も多かったことと思います。

2019年の税制改正通達以前は「全額損金算入でき、かつ、解約返戻率が高い」といったいわゆる「節税商品」が、毎期コンスタントに利益を計上しており、キャッシュフローにある程度余裕のある法人を中心に人気がありました。

しかし、通達改正後は最高解約返戻率ごとに損金算入割合が決められており、「節税保険」は姿を消すことになりました。

 

通達改正後は最高解約返戻率ごとに保険(●●)加入(●●)当初(●●)()損金算入割合は以下のとおりとされました。

 

  • 50%以下      ・・・・・全額損金算入
  • 50%超、70%以下 ・・・・・60%損金算入
  • 70%超、85%以下 ・・・・・40%損金算入

 

この損金算入割合は加入当初の割合であり、保険積立金として資産計上された保険料についても保険期間の経過に応じて取り崩して損金に算入されます。

 

解約返戻金のある生命保険は基本的に今も昔も万が一の保障と将来の役員退職金の準備目的です。

将来の退職金の支払原資を多く確保しようと思えば解約返戻率の高い生命保険に加入する必要がありますが、その代わりに保険料は高くなります。

保険料が高くなるほど法人の資金繰りに与える影響は大きくなります。

生命保険は長期に渡って加入するものですので単に返戻率だけでなく自社の業績及び資金繰りを勘案したうえで加入を検討することも大切です。

例えば、最高解約返戻率が50%以下の場合、全額損金算入ですので税効果も最大限取りながら、かつ、退職金準備をすることができます。

 

なお、最高解約返戻率が50%超、70%以下で、かつ、被保険者1人当たりの年間保険料合計額が30万円以下の場合は、保険料の全額を損金算入することができます。

 

通達改正前はどうしても解約返戻金のある生命保険に目が行きがちでしたが、通達改正後の現在においては、保険としての本来の役割である「保障」について真剣に考えていく時代になったと思っております。

特に昨年からのコロナ過においてどの企業も金融機関からの借入金が増えていると思います。

事業継続のためにやむを得ない資金調達だったとはいえ借入金残高が増えた分、企業のリスクも増しています。

企業にとってのリスク、とりわけ中小企業のリスクは何といっても社長にもしものことがあったときです。

仮に社長が亡くなった場合、後継者候補がいればその会社を引き継いでもらうことが可能だとお思いかも知れません。

しかし、中小企業経営者の多くは金融機関からの借入の際、個人保証をしており、その場合、後継者も基本的に個人保証をしなければなりません。

最近は「経営者保証ガイドライン等」に則って経営者保証を外すケースも増えてきてはいますが、無条件で個人保証を外してもらえるわけではありません。

その場合、後継者候補の方が個人保証を嫌がって承継しないケースが出てくるかもしれません。承継者が従業員などの第三者承継の場合にはその可能性が高くなります。

 ということはつまり、借入金が無ければ会社を承継してもらい易くなります。

 そのためには生命保険を活用することが必要です。

 法人契約の生命保険に加入すると社長に万が一のことがあった場合、会社に保険金が支払われますので、その保険金で借入金の返済や死亡退職金の支払いができ、借入金が無い状態、又は、

少ない状態で後継者にスムーズに会社を引き継ぐことができます。

 

 また、借入時に団体信用生命保険(団信)に加入しており、借入金対策ができている場合であっても団信が適用されると借入金残高が債務免除益として法人の利益になりますので、

その分の税負担が増加します。

 

 例えば団信によって3,000万円の債務免除を受けた場合、3,000万円×33%=900万円の法人税が課税されますので、そこまで考えた借入金対策が必要です。

 

 企業経営にはさまざまなリスクがつきものです。とりわけ社長に不測の事態が生じた場合には一大事です。

 会社の財務内容、ご家族構成、後継者の有無などによって必要な保障内容は様々です。

 また、死亡リスク以外にも重大疾病や障害状態による「就業不能リスク」も考えておかなくてはなりません。

 当事務所では社長のご家族、従業員、取引先等を守るため会社の内外の情報を把握している顧問税理士という立場で「企業防衛」という視点で適正な生命保険のご提案を行っております。

 

 

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