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改正電子帳簿保存法の【電子取引】について対応策

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改正電子帳簿保存法の【電子取引】について対応策

改正電子帳簿保存法の【電子取引】について対応策

2021/10/27

改正電子帳簿保存法

~中小企業にも影響がある【電子取引データ】の保存方法について~

9/29にご紹介しました「改正電子帳簿保存法」ですが、以下の3つに区分されます。

 

 1⃣ 電子帳簿保存

2⃣ スキャナ保存

3⃣ 電子取引

1⃣電子帳簿保存と2⃣のスキャナ保存は法律上、任意適用ですが、3⃣電子取引については、該当する取引があれば全ての法人及び個人事業者に強制適用されますので、きちんとした対応が求められます。

強制適用ですので不備があれば「青色申告の取消」がされる恐れがあります。

なお、改正電子帳簿保存法は、令和4年1月1日以降の取引から適用が開始されます。

 

というわけで、今回は強制適用される 3⃣電子取引について説明いたします。

 

 まず、【電子取引】の定義ですが、取引に際して受け取る、または交付する請求書、領収書、見積書、注文書、契約書などの取引情報を電子メールやネットサイトで受け渡しを行う取引等をいいます。

 例えば以下の取引などが【電子取引】に該当します。

 

 ①メールで請求書、領収書などのデータをPDFファイル等で受け取る

 ②Webサイト上から請求書、領収書などをダウンロードする

 ③Webサイト上の請求書、領収書などをスクリーンショットで保管する

 ④ペーパーレス化されたFAX受信データをそのまま保管する

 ⑤本文に取引情報が記載されている電子メールを受け取る

 

  最近は楽天やAmazonなどのネットサイトでの購入、クレジットカード明細及び一部大手企業においては紙面での請求書発行を廃止し、各自サイトにアクセスをして請求書をダウンロードする形式になっているケースも増えてきています。

  いずれも電子取引に該当するため、データでの保存が必要になります。

 

 

 (1)書面保存の廃止

【電子取引】については、データによる保存が義務付けられることとなり、データをプリンタで印刷し、書面で保存することが認められなくなります。

 電子データの保存は、ハードディスク、DVD、磁気テープ、クラウドストレージサービスなどに記録・保存することをいいます。

 

 (2)電子取引データの保存に関する規定

 今回の改正電子帳簿保存法では、電子データの保存要件は以下のとおり定められました。

  •      ①事前承認不要
  •        ②入力期間 最長2か月と7日以内 
  •        ③システム関係書類の備え付け(自社開発プログラムを使用する場合のみ)
    •        ④見読装置(PC、プリンタ、操作マニュアル等を備え付け、いつでも出力可能なこと
    •        ⑤一定の検索機能の確保(取引年月日、取引金額、取引先名)
    •        ⑥発行者のタイムスタンプ付与
    •                    ⑦受領者のタイムスタンプ付与
    •                     ⑧訂正・削除履歴の確保
    •                   ⑨訂正・削除の防止に関する事務処理規程の作成

 

        このうち、⑥から⑨については、いずれかを充足すればOKです。

 

    (3)中小企業の対応

中小企業の対応策としては、以下の3つが考えられます。

 

➊ 上記⑥、⑦の「タイムスタンプの付与」とは時刻認証局が付与するデータ で、ある時刻から情報が改変されていないことを証明するもので電子取引データの信頼性が確保できます。

 一方、タイムスタンプには費用がかかることから中小企業にとっては負担になります。

 

➋ 上記⑧の「訂正・削除履歴の確保」については「電子取引ファイルシステム」に保存することによって保存要件を満たした電子取引データとして保存できます。

 一方、こちらもシステム導入に係る費用が発生することから中小企業にとっては負担になります。

     

     ❸ 上記⑤の一定の検索機能の確保と、⑨の「訂正・削除の防止に関する事務処理規程の作成」との組み合わせによる対応。

      この方法であれば事務処理規程を作成し、かつ、電子取引データを検索可能なように規則性をもって保存すれば対応可能です。

 

     中小企業の対応は恐らく❸の方法が一番多くなることと思われます。

     事務処理規程は国税庁HPにサンプルが掲載されています。

 

     https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/0021006-031.htm

     

    電子取引データの保存方法の一例を挙げると以下のとおりです。

 

     例)2022年1月31日に㈱ABCから受領した請求書(金額 110,000円)の場合

 

 (A)請求書データ(PDF)のファイル名を「20220131_㈱ABC_110,000」

のように規則性をもって内容を表示する。

 

     (B)取引先ごと、月別など任意のフォルダに格納する。

 

    

     (C)「電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程」を作成し、備え付ける。

 

 

      本日巡回監査先で電子取引の有無について聞き取りをしたところ、「ガソリンカードの利用明細」

     と「某運送会社の請求書」については電子取引データであることを確認しましたので早速、この方法について

     説明をしてきました。

 

改正電子帳簿保存法はあと2か月余りで施行されますので急いで対応策を検討する必要があります。

 

 

   

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