課税売上割合に準ずる割合
2021/10/25
課税売上割合に準ずる割合
個別対応方式で仕入に係る消費税額を計算する際に、共通対応分の税額を計算する場合には、原則として、共通して要する課税仕入等の税額の合計額に課税売上割合を乗じて算出します。
課税売上割合とは、課税売上高(消費税が課される売上高)/総売上高 で計算します。
ただし、その課税売上割合がその事業者の事業の実態を反映していない場合などには、税務署長の承認を受けることにより、課税売上割合以外の合理的な割合で計算することが認められています。これを【課税売上割合に準ずる割合】と言います。
【課税売上割合に準ずる割合】とは、「使用人の数又は従事日数の割合、消費又は使用する資産の価額、使用数量、使用面積の割合その他課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものの性質に応ずる合理的な基準により算出した割合」をいいます。(消費税法基本通達11-5-7)
「課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」を提出し、翌課税期間の開始日から1月以内に承認が下りた場合には、その申請日の属する課税期間からその承認を受けた割合を適用することができます。
課税売上割合に準ずる割合の適用に当たっては、その事業者が行う事業の全部について同一の割合を適用する必要はなく、以下の方法によることも可能です。
(1)事業者の営む事業の種類ごとにそれぞれ異なる課税売上割合に準ずる割合を適用
(2)販売費、一般管理費その他の費用の種類ごとにそれぞれ異なる課税売上割合に準ずる割合を適用
(3)事業場の単位ごとにそれぞれ異なる課税売上割合に準ずる割合を適用
なお、課税売上割合に準ずる割合の適用をやめようとする場合には、そのやめようとする課税期間の末日までに「課税売上割合に準ずる割合の不適用届出書」を提出します。
課税売上割合に準ずる割合の適用を検討する場面として、「たまたま土地を譲渡した場合」などが考えられます。
不動産業、医業等を除き、課税売上割合が95%未満となるケースは少なく、また、95%未満となった場合でも、一般的にその金額は僅少であることから納税額に与える影響は大きくありません。
ところが、たまたま土地を譲渡した場合には、課税売上割合が一時的に大幅に低くなることがあります。
課税売上割合が95%未満となった場合には課税仕入等の税額の全額が控除できず、個別対応方式か一括比例配分方式によって消費税額を計算しなければなりません。
個別対応方式は、課税売上対応仕入、非課税売上対応仕入、共通対応仕入に区分されますが、課税売上対応仕入は課税売上と明確な対応関係があるものに限られるため、販売費及び一般管理費の多くは共通対応仕入に区分されることとなります。
共通対応仕入は課税売上割合分しか税額控除できず、土地の売上に関係ない費用についても税額控除ができないこととなり税負担が増加します。
そこで、以下の要件を全て満たす場合には「課税売上割合に準ずる割合の承認申請書」を提出することで税負担の軽減を図ることができます。
①土地の譲渡が単発であること
②その土地の譲渡が無かったとした場合に事業実態に変動がないこと
③当期前3年間で最も高い課税売上割合と最も低い課税売上割合の差が5%以下であること
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/17/07.htm