譲渡所得の計上時期
2021/11/30
譲渡所得の計上時期
引渡し日と効力発生日どっちがお得??
個人が土地や建物を譲渡した場合、譲渡所得の金額の計算上、資産を譲渡した日は原則として、【その資産の引き渡しがあった日】をいいますが、
売買契約などの効力発生日(売買契約締結日など)に譲渡があったものすることもできます。
なお、効力発生日とは契約締結日と同日とは限らず、実際には手付金の支払いがあった日等の【契約が有効に成立した日】となります。
例えば、売買契約締結日(手付金受領日)が令和3年12月1日で、資産の引渡し日が令和4年1月31日である場合、譲渡所得の金額の計算上、
原則的には令和4年に譲渡があったものとされるため譲渡所得の確定申告は令和5年2月16日から3月15日の間に行います。
一方、契約効力発生日において資産の譲渡があったものとして申告する場合には令和4年2月16日から3月15日の間に確定申告を行います。
資産の引渡し日を選択すると申告期限が1年後になるため、通常はこちらを選択することが多いですが、以下のケースの場合には契約効力発生日を
選択した方が有利になることがあります。
(1)同一年中に譲渡損と譲渡益が発生する不動産の譲渡があった場合
(2)居住用財産の譲渡損失の損益通算の適用が可能な場合
(1)のケースでは、例えば令和3年に既に他の不動産の譲渡があり、譲渡損失が発生しており、今回の譲渡(上記譲渡)では譲渡益が
発生する場合には同一年に譲渡所得の申告をすることにより、譲渡損と譲渡益を通算することができます。
従って、それぞれ別々の年に申告するよりも納付税額が少なくなります。
(2)のケースでは、居住用財産の譲渡により生じた損失の金額は給与所得等の他の所得との損益通算が可能ですので、契約効力発生年に
申告をすることによって早期に所得税の還付を受けることができます。
このように、年を跨ぐ可能性がある不動産の譲渡については、いつ申告するかによって税額に大きく影響することがありますので注意が必要です。