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パート・アルバイトで働く方の扶養の範囲について確認しましょう!

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パート・アルバイトで働く方の扶養の範囲について確認しましょう!

パート・アルバイトで働く方の扶養の範囲について確認しましょう!

2021/10/06

パート・アルバイトで働く方の扶養の範囲について確認しましょう!

~103万円の壁・130万円の壁・106万円の壁~

10月に入り税金や社会保険の扶養の範囲内で働きたい方にとっては、そろそろ年間のパート・アルバイト代が扶養の範囲内に納まるか気になり始める頃と思います。

これから年末にかけて勤務調整が必要となることもありますので、中小企業経営者及び経理担当者の方は扶養に関する注意点について早めに従業員に説明を行い、年末に備えましょう!

 

所得税の103万円の壁

 

妻が夫の収入の範囲内で働くケースでは妻の給与収入が103万円以下であれば、妻本人には所得税が課税されません。

また、夫は自身の年末調整・確定申告の際、「配偶者控除」の適用を受けることができます。

配偶者控除額は38万円(妻の年齢が70歳以上の場合は48万円)であり、夫の所得税の計算上、控除(別の言い方をすると「経費」に算入)できます。

 

ただし、配偶者控除には所得制限があり、夫の給与収入が1,195万円を超えると控除を受けることができません。

 

◆配偶者控除額

 

妻の年齢

夫の給与収入

1,095万円以下

1,095万円超~

1,145万円以下

1,145万円超~

1,195万円

70歳未満

 38万円

26万円

13万円

70歳以上

48万円

32万円

16万円

 

 

配偶者特別控除の適用要件

 

妻が夫の扶養の範囲内で働くためには妻の給与収入を103万円以下に調整しないといけませんが、世帯収入を増やすためにはもう少し働きたいと考えておられる方も多いと思います。

 103万円を超えると配偶者控除は受けられませんが、たとえ103万円を超えた場合でも150万円までであれば「配偶者特別控除」の適用が受けられる場合があります。

 

配偶者特別控除にも所得制限がありますが、例えば夫の給与収入が1,095万円以下で、かつ、妻の給与収入が150万円以下であれば配偶者控除と同様、満額の38万円の控除を受けることができます。

 

    妻の給与収入が150万円を超えると段階的に控除額が減少していき、201万6千円を超えると控除額はゼロとなります。

    控除額は夫の給与収入と妻の給与収入によって区分が27種類に分かれています。

   

    ただし、夫の給与収入が1,095万円以下で、かつ、妻の給与収入が150万円以下であれば「配偶者控除」も「配偶者特別控除」同額受けることができ、どちらでも良いように思われますが注意点が2点あります。

   

    1点目は、配偶者特別控除は配偶者控除と異なり、配偶者の年齢が70歳以上であったとしても10万円の控除額の上乗せはありません。

 

    2点目は夫が大企業等でお勤めの場合において、夫が会社から支給される「家族手当」の支給基準が妻の収入が103万円以下(配偶者控除の適用範囲内)としているケースが多いです。

 

    うっかりミスが無いように注意しましょう!

 

 

社会保険の扶養の範囲(130万円の壁)

 

 妻が103万円を超えて働く場合において注意すべき点に、社会保険の扶養の範囲である「130万円の壁」があります。

 妻の収入が130万円以上(60歳以上は180万円以上)になると、夫の社会保険の扶養から外れ、妻自身が社会保険料に加入し保険料を支払う必要が出てきます。

 

 世帯負担の増加ということを考えると、一般的に妻の収入が夫の所得税・住民税の扶養の範囲内に納まるかどうか考えるよりも、社会保険の扶養に納まるかどうかを考える方が重要です。

  所得税・住民税の場合は仮に収入が103万円を超えたとしても収入にそのまま課税される訳では無く、給与所得控除や基礎控除などの所得控除を控除した後の金額に対して所得税等5.015%(最低税率の場合)、住民税10%が課税されるだけです。

 一方、社会保険料は給与収入が130万円以上になると、その給与収入に対して約15%の保険料が従業員負担分として徴収されます。

 つまり、世帯収入を増やそうと思って頑張って働いた結果、中途半端に130万円以上になってしまうと、かえって手取額が減少してしまう可能性があるので注意しましょう!

 

 

社会保険の扶養の範囲(106万円の壁)

 

さらに、社会保険の扶養の範囲には「106万円の壁」というものもあります。

以下の要件の全てに該当すると106万円以上の給与収入があった場合には社会保険の扶養の範囲から外れてしまいます。

 

  • 従業員が501名以上の企業に勤務
  • 勤務時間が週20時間以上
  • 月額給与(賞与、通勤手当を除く)が8万8千円以上
  • 1年以上の勤務見込である
  • 学生以外

 

 例えば、妻が大企業でパートをしている場合などが該当します。

 この「106万円の壁」については、今後段階的に対象となる企業の従業員数が引き下げられます。

 

令和4年10月から ・・・・・ 従業員数 101名以上

令和6年10月から ・・・・・ 従業員数  51名以上

 

3年後からは完全に中小企業勤務者も対象範囲に入ってきますね。。。(>_<)

 

 

扶養の範囲と最低賃金の引上げの関係

 

今月から最低賃金の引上げが行なわれました。

京都府は 909円 から 937円へ引き上げられました。

国は将来的には全国で最低賃金が1,000円を超えることを目標としており今後もこの傾向は続いていくと思われます。

最低賃金が上昇することは従業員にとって喜ばしいことではありますが、

扶養の範囲が今のままであった場合、最低賃金が上昇するにつれて今までよりも勤務日数や勤務時間を減らさないと夫の扶養から外れてしまうことになりかねません。

つまり、企業経営者にとっては今まで以上に従業員の勤務調整の要望に応じなければならないケースが出てきそうです。

普段は従業員数が足りている企業であっても、年末になると人員不足になり、従業員のやりくりに苦労する場面が増えてきそうです。

日頃から人材確保が難しい中小零細企業にとっては死活問題です。

 

先日、当事務所のクライアントの経営者様から「最低賃金上昇に伴って税制及び社会保険制度も改正してもらわないとやってられない!」とのお声がありました。

クライアントの多くが中小零細企業である税理士の立場からは経営者側ばかりが過度な負担を強いられるようなことにならないことを切に願っております。

 

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